戸籍の原本は本籍地を置いている役所に保管されており、
たとえ本人であっても原本を手に入れることは出来ないようになっています。
ですから私たちが通常、市役所などでもらうものは戸籍の写し、
つまりコピーや内容を証明する書類ということになります。
そして、戸籍の写しには戸籍謄本と戸籍抄本の二つがあります。
ではこの違いはどのようなものでしょうか?
目次
◆戸籍謄本と戸籍抄本の違い
・戸籍謄本
まず戸籍謄本とは別名では戸籍全部事項証明書ともいわれます。
つまり、その戸籍に記載されている家族に関してすべての家族のことが、
書き写されているものということになります。
戸籍に掲載されている家族とは夫婦と婚姻していない子供2代までとなります。
例えば。。。
おじいちゃんと同じ屋根の下に住んでいるからといっても、
おじいちゃんは同じ戸籍ではないのです。
戸籍謄本が必要な時として考えられるのは、
・家族全員など複数の家族がパスポートの手続きを同時にするとき
・年金請求の手続き
・親族の死亡時に起きる相続に関しての手続き
・婚姻届出時
などが考えられます。
・戸籍抄本
一方、戸籍抄本とは、
戸籍に記載されている一部の人の記載事項を写して証明した書類です。
別名では個人事項証明書とも言います。
ですから、戸籍抄本はそこに書かれている人についてのみの証明書です。
・発行してもらえる場所について
戸籍謄本も戸籍抄本も本籍地の役所で請求しなくてはなりません。
今住んでいる場所が本籍地でない場合は、
住んでいる場所では写しをもらうことはできません。
これは「抄本」であろうと「謄本」であろうとも同じです。
なんとなく「抄本」なら個人だけの証明なので、
自分が住んでいる役所で貰えそうな気がしてしまうのですが、
それは、できません。
本籍を置いている所が本籍地となりそこでもらうしかないのです。
(郵送は可能)
ですから注意が必要です。
・証明できる人の違い
証明書に記載されている人についてのみの証明となりますから、
記載されていない人の証明はできません。
ですので、何らかの手続きの際に戸籍の証明が必要な人が一人なのか、
複数なのかでどちらを請求するかが変わってきます。
全員なら「謄本」
個人なら「抄本」
となります。
・現住所の記載について
戸籍謄本と戸籍抄本においては住んでいるところの住所は記載されません。
記載されるのは住所の移転が掲載されている「戸籍の附票」となります。
住所の移転経緯が必要ならば「戸籍の附票」を別途請求する必要があります。
・発行手数料について
戸籍謄本も戸籍抄本も1通の発行手数料は450円で同じです。
戸籍謄本であれば1通ですべての家族の記載事項が証明されるのですから、
複数人数分が必要であれば戸籍謄本を請求するほうが経済的です。
◆戸籍は重要な個人情報ですから注意が必要?
同じ手数料ならば全部乗っている方が便利じゃないの?
なんて思いますよね。
確かに1枚ですべてできれば便利です。
しかし、戸籍は日本国民の個人にとって、
最も基本的でかつ、重要な個人情報でもあります。
戸籍に記載される事項としては、
・両親や養父母の名前
・生年月日
・続柄
・出生地と出生の届出人
・結婚や離婚などの婚姻歴
・養子歴
など様々な情報があります。
悪意ある人と手にわたってしまうと非常に有力な証明書となり、
どのような被害に合うかもわからないので注意が必要です。
ですので、書類の提出先において自分の情報などで十分な場合は、
他の家族の情報を見せる必要がありません。
不用意にプライバシーをさらけ出す必要もないので抄本をもらうのです。
ですので、安いからといって安易に謄本を請求するのではなく、
本当に全部が必要な情報なかどうかも考えて請求すべきなのです。