「肉」というと漢字を見ると。。。
・小売店の食料品売場で販売されている牛や豚の肉
・動物が身体を動かすのに欠かせない筋肉
・体重が増える時になるようになる贅肉
などを思い浮かべることでしょう。
しかし、この「肉」という漢字は、
紙に押印をする際に欠かせないアイテムである「朱肉」にも用いられています。
では朱肉の肉と言う文字はなぜ使われているのか?その語源は?
目次
◆どうして肉なのか?その語源とは?
紙に印影をつける際には、
最初に印鑑に特殊な加工が施された色料を付着させます。
この色料を染み込ませたもののことを印肉といいます。
そして、この印肉に染み込ませてある色料が、
朱色に加工されたものが朱肉になります。
こうしてみると印肉にも同じように「肉」の字が使用されています。
この朱肉や印肉で使用されている「肉」の語源はいったい何なのでしょう。
実は、一般的な肉とはおおよそかけ離れている物であっても、
動物についている肉のように柔らかい感触を得られるものに対しては、
名称に「肉」の字が使われることがあります。
例えば。。。
朱肉の「肉」と同じ意味で肉が用いられている言葉には、
・果肉
・梅肉
・葉肉
などがあります。
つまり「動物についている肉のように柔らかい感触を得られるもの」
これが「肉」の語源の一つといわれています。
朱肉とは「動物についている肉のように柔らかい感触を得られるもの」に、
朱色が練り込まれたものになるのです。
では朱肉という言葉がどのようにして用いられるようになったのか?
現在私達が一般的に使用している朱肉とは、
フエルトやスポンジに色料を染み込ませたものが主流です。
これらを触ってみても、もちろん肉の感触からは程遠いですよね。
しかし、かつては銀朱(黄みの強い赤色)に、
ひまし油や松脂などを溶かし入れたものに植物や和紙を加えて、
練り固めたものがよく用いられていました。
その練り固めたものの見た目と感触が肉に似ていることから、
朱肉という名称が用いられるようになったというのが、この説における経緯です。
◆もう一つの朱肉の語源について
朱肉の語源にはもう一つ、
血判がよく行なわれていた時代の名残であるとする説があります。
それはどういうことなのか?
印肉が広く普及する前までは、紙に判を押すときは、
自分の「肉」を切って出した血液がしばしば用いられていました。
しかし、この方法の場合ですと判を押す必要が生じるたびに、
身体のどこかに切り傷をつくらなければなりません。
それでは切り方次第では出血が多くなって命にかかわります。
そこで、血液に似た液体をつくり出し、
それを判を押す際に使う手法が考え出されるようになったのです。
これが印肉の文化の始まりになったというのが、この説の場合の経緯です。
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